知られざる親日国『モンゴル』サッカーリーグのリアルな現状

知られざる親日国『モンゴル』サッカーリーグのリアルな現状

2019年現在、モンゴル1部リーグのFCウランバートルに所属する、私こと大津一貴。モンゴルサッカーリーグのリアルな現状を、選手目線で執筆いたしました。毎節日本人対決が実現…?フランス1部モナコ所属だった選手の移籍加入…?現地選手の待遇は…?


ゴラッソ読者の皆さま、こんにちは。
2019年現在、モンゴル1部リーグのFCウランバートルに所属しております、大津一貴と申します。2017年にもゴラッソにて記事を寄稿しておりましたが、再度記事を執筆させて頂くこととなりました。改めて、よろしくお願い致します。

今回は、2015年に私がプロサッカー選手としてキャリアスタートさせ、昨年の2018年シーズンから再度プレーしている『モンゴルリーグ』についてご紹介させて頂きます。

特殊なリーグレギュレーション

2019年シーズン現在、モンゴル1部リーグは『Mazala National League(マザラ ナショナル リーグ)』という名称で呼ばれております。”マザラ”とは、モンゴルの飲料会社の名称で、2018年シーズンからモンゴルリーグのスポンサーとなりました。現在、日本のJリーグの名称が「明治安田生命Jリーグ」と呼ばれるように、スポンサーの名称がそのままリーグの名称になっております。

2019年シーズンの開催期間は、4月13日~10月27日までの予定です。真冬の12月~1月は、約マイナス30℃まで気温が下がるくらい寒い場所であるモンゴルは、外でサッカーがプレーできる期間が短く、10月下旬で零下になる気候が開催期間にも大きく影響しております。

また、1部リーグ全10チームによる、ホーム&アウェイの二回戦総当りのリーグ形式ですが、ここでは各チームのスタジアム問題があります。というのも、10チーム中9チームは首都のウランバートルが本拠地のチームです。更に、自チームのスタジアムを所有しているクラブは、ウランバートル市内の2チームと、エルデネトという地方都市を本拠地とするチームが1チーム、合わせて3チームしか専用スタジアムを所有しておりません。残りの7チームは、ウランバートルの中心に位置する、モンゴルサッカー協会が所有するスタジアム(通称:MFF フットボール センター)を、ホームスタジアム扱いとして利用しております。ですので、シーズン中の7~8割の試合が、MFFフットボールセンターでの試合となります。モンゴルの人口約307万人のうち、約45%の人たちが首都のウランバートルに集中して住んでいる国内事情が、そのままサッカーリーグにも反映されている状況です。

MFFフットボールセンターのスタジアムの様子。ウランバートル市内の中心に位置する。バックスタンドには屋根が付いていて、観戦もしやすいスタジアム。

また、今シーズンからリーグ戦の順位決定方法が変更になりました。昨年まではリーグ戦での最終順位が、そのまま成績として反映されていました。しかし、今シーズンは総当りのリーグ戦を消化した後、上位5チームと下位5チームにグループを分けて、『優勝決定リーグ』と『降格決定リーグ』が開催されます。各グループ、一回戦総当りのリーグを行い、このリーグでの成績が最終的な順位となります。ですので、年間5位で上位グループに入ったチームにも、最後まで優勝の可能性は多いに残されている反面、年間6位で下位グループに入ったチームは、最後まで降格の可能性が残されています(降格は下位2チーム)。

このリーグ戦での優勝チームには、AFCカップ(Jリーグ上位チームが出場するACLより1つ下のカテゴリーとされる、アジア諸国のクラブチームによる国際大会)のプレーオフ出場権が与えられます。日本のJリーグに比べると、環境面やリーグ運営等まだまだ発展途上のリーグですが、国際大会に繋がっていることも事実です。そのような視点で考えると、選手個人にとってはチャンスのある環境とも言えるかもしれません。

モンゴル王者『エルチムFC』が、AFCカップのプレーオフに挑む様子。北朝鮮チームとのアウェイゲーム。

また、モンゴル1部~3部にあたる全カテゴリーのチームがトーナメント方式で争うカップ戦も、リーグ戦と平行して開催されます(日本の天皇杯のような大会)。リーグ戦はもちろんのこと、カップ戦も勝ち上がると、チームに賞金が入るので、カップ戦も重要な大会の1つです。

ちなみに、昨年のリーグ優勝チームの賞金は50,000,000トゥグルグ(日本円で約230万円)。2位は40,000,000トゥグルグ(約180万円)、3位は30,000,000トゥグルグ(約130万円)となっておりました。モンゴルでの一般的な平均月収は、日本円で換算すると1ヶ月あたり約4~5万円ですので、多額の賞金額と言えるでしょう。

現地でプレーする選手の待遇は?

私のように、モンゴルでプレーする外国人選手も数多く存在します。現在一番多い国籍の選手は、なんと日本人選手です。2019年シーズンの正確な選手人数を把握できておりませんが、1部~3部まで合わせると、合計20人以上の日本人選手がプレーしています。次に多いのは、隣国のロシア人選手。あとは、セルビア人選手やアメリカ人選手も多い印象です。他にも、アフリカ系の選手やブラジル人選手も毎年プレーしています。今シーズンは、モンゴル国内でナンバー1の金満クラブである『ウランバートル・シティFC』が、フランス1部リーグのモナコやナント等でプレーしていた経歴を持つ元セネガル代表DFを獲得したことが、モンゴルサッカー界でも一番の話題となりました。

元セネガル代表のMassamba sambou選手が、インタビューに応じる様子。

しかし、外国人選手だとしても、全員の選手が大金を手にしてプレーしている訳ではありません。経歴の無い選手がプロとしてのキャリアをスタートさせるために、モンゴルへトライアルに来ることも珍しくありません。実際に私自身も、プロキャリアのスタートはモンゴルでした。プロ契約を掴み、そのシーズンに活躍し、翌年により良い条件のオファーを受ける。または他国へ移籍する。選手としてステップアップするための第一歩として、モンゴルを訪れる選手が近年は特に多い印象です。そのような選手達が、元モナコでプレーしていたセネガル人選手のように、大金を手にしてプレーすることは中々難しいのが現実です。実力世界なので当たり前のことかもしれませんが、結果を残し続けることが、プロ選手として生き残るために必要な要素であることは、モンゴルリーグでも一緒です。

それは、モンゴル国籍である現地の選手たちにも同じことが言えます。サッカーの給料だけで生活している選手は、各チームの主力級の選手たち、または資金力があるクラブの選手たちだけです。仕事を掛け持ちしながらプレーする選手や、学校に通いながらプレーしている学生の選手。実力によって、モンゴル人選手たちも待遇が大きく異なります。外国人選手も含め、プロサッカー選手としての待遇でプレーしている選手たちと、セミプロやアマチュアのような待遇でプレーしている選手たちが混在しているのが、現在のモンゴルリーグのリアルな現実です。

異国の地での日本人対決

この記事を執筆している現在、2019年シーズンのモンゴルリーグは既に開幕戦を消化しております。私が所属するFCウランバートルは、2部から昇格してきたホルムホンFC相手に4-0で勝利。シーズン初戦ということで独特な難しさもありましたが、無事に勝ち点3を獲得することができました。個人的には、過去2シーズンプレーしたモンゴルリーグで、2回とも2位という悔しい結果になってしまったので、今年こそ優勝できるように全力を尽くします。

2019シーズン開幕戦、FCウランバートルのスターティングメンバー。

いよいよ始まった2019シーズン。私が所属するチーム以外にも、沢山の日本人選手がプレーするモンゴルリーグ。1部リーグ10チーム中、7チームに日本人選手が所属しておりますので、異国の地で日本人対決が毎週行われているリーグです。親日国でもありますので、現在プレーする日本人選手の活躍次第で、今後も日本人選手が活躍する場所となるでしょう。

このまとめのライター

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