日本の育成年代の現状と課題

日本の育成年代の現状と課題


1993年にJリーグが開幕し、日本にサッカーブームが訪れた。そして1998年のフランス大会で日本は初めてワールドカップに出場した。Jリーグが開幕してから25年、日本がワールドカップに初めて出場してから20年が経過した。今回はそんな日本サッカー界における育成年代の現状と課題について触れていきたい。

日本の育成年代のレベルは世界でもトップクラス

まず始めに、ここでは育成年代をu-12の小学生年代と定義する。日本の育成年代は世界的に見てもレベルが高いと言われている。事実、小学生年代のサッカーの「ワールドカップ」であるFIFA公認のサッカー大会「ダノンネーションズカップ」では2013年に埼玉県代表のレジスタFCが世界大会で準優勝し、2014年大会には横河武蔵野ジュニアが優勝、2016年大会でもヴァンフォーレ甲府u-12が準優勝するなどしている。このことからも世界的に見ても日本の育成年代は高いレベルにあることが証明できるだろう。

2016年大会で準優勝のヴァンフォーレ甲府u-12

日本の高い技術力の要因とは

日本の子ども達は良く、「ボールを扱う技術」に優れていると言われている。その要因としてはサッカースクールの普及と発展、そして指導者数の増加が考えられる。サッカースクールはここ十数年で全国に大きく広がりを見せている。

2018年シーズンはJ1からJ3まで全部で54クラブがあり、それらのJの傘下のサッカースクールに加え、欧州の強豪クラブである、FCバルセロナのサッカーアカデミーやアーセナルサッカースクールなどの海外クラブのサッカースクールもある。そして、全国に150校以上を展開するクーバーコーチングサッカースクールをはじめとした民間のサッカースクールも数多く存在する。

近年では、ドリブルに特化した「ドリブルスクール」や優秀なストライカーの育成に特化した「ストライカー」スクール、ゴールキーパーの育成に特化した「ゴールキーパースクール」など特化型のスクールまで出てきている。

そして、JFA(日本サッカー協会)公認ライセンスを持ち、協会に登録している指導者の数も2004年は26743人だったのに対して、2017年は80308人とその数は3倍以上に増えている。今では1年間に300近くのサッカースクールが開校していると言われている。飽和状態となっているため、閉校しているサッカースクールもそれなりに数は存在するが、今の子ども達はJFAに登録して公式戦に出場する少年団やクラブチームと掛け持ちでスクールに通うのが当たり前の時代になってきている。週に2、3回の所属クラブでの練習に加えて足りない部分を週1、2回のスクールで補っているような状況だ。中にはクラブとスクールを合わせ3つ以上に所属している子どもがいるくらいだ。

それらの影響もあり、日本の子ども達の技術は十数年前に比べてレベルが上がっているのは明らかだろう。しかし、一方でプロの年代になる18歳、19歳になると世界でなかなか勝てない現状もある。

技術はトップレベルでもメンタルや創造性に課題あり

では、日本の育成年代の課題は何か?これは育成年代に限らずだが、メンタル面と創造性などに課題があるのではないだろうか。先日、元スペイン代表でリバプールやアトレティコ・マドリードで活躍したルイス・ガルシア氏のバルサアカデミーでのクリニックを取材したが、ルイス氏はこう語っていた。
「日本の子ども達はスペインの子どもと比べてもボールを扱う技術は上手いと思う」しかし、創造性の部分が大きく欠けている。その他にもメンタル面でも差があると思う。」それらの要因として考えられるのは、日本の教育の部分と環境ではないだろうか?

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ルイス・ガルシア氏

創造性については、日本は先生と生徒っていう関係性が学校教育の現場であまりにも確立されている。そのため、「言われたことを言われた通りにこなす」ことに子どもが一生懸命になりすぎるあまりに、自分で考えて0から1を創り出す「創造力」が養われにくいのではないかと考えている。欧州では、最低限のポイントや原理原則を教えて、あとは子ども達の自主性に任せているという話をよく聞く。日本は良くも悪くも指導者が「教えすぎている」部分があるのではないか。

次に環境面だが、将来のプロ選手を育成するJの下部組織と欧州や南米のプロクラブの下部組織の違いは「入れ替わりの有無」だ。日本では一度、Jクラブの下部組織に入団すると原則として小学校なり、中学校を卒業するまではそのクラブに在籍することができる。一方の海外のプロクラブの下部組織では、ダメな選手はクラブを辞めさせられることも少なくないという。ちなみに、日本では、Jクラブの下部組織に入れなくても高校サッカーや大学のサッカー部で活躍してスカウトされるとプロになることができるが、欧州や南米では学校の部活動からプロになる道はなく、下部組織から昇格するか、プロテストを受けて合格する方法しか残されていない。

そのため、プロクラブの下部組織に入団できるかどうかが日本以上に影響してくる部分はある。そのため、欧州や南米では高い競争意識が生まれてくる。

さらには、メンタルコーチといったメンタル専門のスタッフが育成年代にまでついていることもあり、小学生年代からメンタル面のケアを欠かさず行っている。他にも、フィジカルコーチがu-12世代などでもいることが多く、環境面では日本と大きく差がついている。

今回挙げた部分以外にも戦術理解やオフ・ザ・ボールなど日本の課題はまだまだ山積みである。これらの壁を乗り越え、日本サッカー界の更なる発展に期待したい。

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                                   ライター:辻本拳也

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