サラリーマンから海外リーガー!?きっかけは『癌』

サラリーマンから海外リーガー!?きっかけは『癌』

タイ3部リーグ カンペーンペットFCに所属する大津一貴氏の今に至るまでのきっかけを、これまでの歴史を語っていただきました。


ゴラッソの読者の皆様、はじめまして。
現在タイリーグ3部のカンペーンペットFCに所属する、大津一貴と申します。
この度、ゴラッソ運営局の方からお話を頂き、執筆させて頂く事になりました。よろしくお願い致します。
日本でのプロ経験はありません。なぜなら、2014年度まで東京のリフォーム会社に勤める普通のサラリーマンでした。
なぜそんな自分が、モンゴル、ニュージーランド、タイと海外でプレーするサッカー選手になったのかを、今回はお伝えします。

経歴

1998-2001年 札幌山の手サッカー少年団
2002-2004年 SSS札幌ジュニアユース
2005-2007年 青森山田高校
2008-2011年 関東学院大学
2013-2014年 T.F.S.C(東京都リーグ)
2015年 FCウランバートル(モンゴル)
2016年 スリーキングスユナイテッド(ニュージーランド)
2017年 カンペーンペットFC(タイ)

なぜサラリーマンから海外リーガー? きっかけは『癌』

ある日突然身体に異変を感じ、近所の病院で診察してもらうと「すぐに大学病院で検査しなさい」と医者から告げられ、言われるがまま紹介状を片手に大学病院へ。血液検査やCT検査など沢山検査を受けた後、診察室で告げられた診断は『精巣腫瘍』という病名の悪性の癌。それを聞いた時は頭の中が真っ白で、どういう反応をしていいか分からずになぜか笑っていました。実家の親と会社の上司に電話するためと言って病院を出て、雲ひとつ無い7月の青空をしばらく眺めながら、「なぜ自分が…」という感情と戦いながら、まずは自分がこの事実を受け入れようと必死に自分の心に言い聞かせていました。

幸い早期発見だったので、摘出手術と放射線治療で一命を取り留めましたが、「発見が遅ければ明日死んでいたかもしれない」と医者から言われた時の恐怖心は今でも忘れられません。
ただ、もし本当に明日死ぬとしたら…と考えた時、まず最初に頭に浮かんだのはサッカー。小さい頃からプロサッカー選手になることを夢見て、大好きでずっと続けてきたことを、怪我、大学卒業、就職、世間体、お金、環境、沢山のできない理由を並べて諦めた自分が居ることに、その時はじめて気付きました。本当はまだまだサッカーをしたいし、夢を叶えないまま人生を終えたら絶対に後悔すると思いました。
病気が治ったらもう一度本気でプロサッカー選手を目指そうと手術前の病室で決意。当時22歳でしたが、その時の自分にとって年齢や世間体は全く気になりませんでした。

ですが、放射線治療の影響で体重は約10キロ落ち、大学時代に負った怪我の影響で膝は曲がりきらないまま。現実問題働かなければ生活することができず、体調が落ち着いた約3ヵ月後に復職。このような状況だったので、当時はほとんどの人が現実を見ろと反対してきて、真剣に話しを聞いてくれませんでした。
自分の気持ちだけが空回りする日々の中、この悩みを思い切って会社の上司に相談したところ、「応援するし、できることなら協力するよ!」という返答をしてくださり、私のチャレンジをはじめて真剣に応援された瞬間でした。当時、その上司の方とは違う部署だったのですが、年度が替わるタイミングで同じ部署に移動することになり、本格的にまずはサッカー復帰へリハビリの日々がスタート。それでも毎日仕事はあるし、特別何かを優遇されていた訳ではないのですが、応援してくれる人が近くにいるということがとても大きなモチベーションとなりました。それはリハビリだけではなく、仕事も本気で取り組むモチベーションへと繋がり、サッカーも仕事も両方本気で取り組む二刀流の日々だったと思います。

ようやくサッカーができるような身体になってきたタイミングで、営業先のお客様の繋がりから、運良く社会人チームを紹介して頂き、2013年の秋にようやく競技に復帰。復帰当初はイメージ通りに身体がついてこなかったりして、プレー面では上手くいかないことの方が多かったですが、何よりもサッカーができることだけで幸せでした。
そして、徐々にコンディションも上がってきたところで、今の自分がプロサッカー選手になるにはどうするべきか?を現実的に考えました。「日本のJリーグは正直可能性がほとんど薄そうだし、そもそもトライすることすらできないだろう。小さい頃に憧れていたヨーロッパとなると、もっと可能性は薄そうだな…。でも、アジアなら経歴が無い自分にもチャンスがある国があるのではないか…!?思い切って海を渡ろう!」と自分の中で方向性を定めました。
そして、2014年末に行われたセレクションにチャレンジ。その結果、モンゴル1部リーグのFCウランバートルに入団が決定。念願のプロサッカー選手という夢を現実にすることができました。

2015年3月に会社を退社し、極寒の地モンゴルへ。チームに合流当初、練習はマイナス20℃の気温の中で行われたり、シーズン前の中国遠征では相手GKの悪質なファールを肋骨に受け、モンゴルに戻ってから病院に行くも適切な治療が受けられずにテーピングを張って終わりだったり…
想像以上に厳しい環境が待っていましたが、ついに5月の開幕戦を迎えることに。試合前の整列時に流れたモンゴル国歌を聴きながら、癌と告げられた日と同じ青空を見上げて「やっとここまでたどり着いたのか…」という想いから涙したことは一生忘れません。周りの選手にばれないよう必死に涙を拭いてキックオフ。その20分後にはプロ初ゴールを記録し、試合にも勝利。更に一生忘れられない日となりました。

このような経緯で、僕のプロサッカー人生が25歳にしてようやくスタートした訳ですが、この出来事を自分で記事にすることが果たして良いことなのかと悩んだことも事実です。しかし、ありきたりな言葉になりますが『夢の大切さ』を多くの方に伝えることができれば…という想いで執筆しました。この記事を読んで頂く方の人生に少しでも何かプラスになることができれば本望です。
また、はじめて私のプロサッカー選手という夢を応援してくれた当時の上司の方をはじめ、今は本当に多くの方から応援して頂けることに心から感謝しています。ありがとうございます。
ただ、私自身の目指す場所はもっと上のステージ。小さい頃に想像していたのは、日本代表やヨーロッパの強豪クラブのユニフォームを着て活躍している姿。「サラリーマンからプロサッカー選手になれたのだから、ワールドカップに出場することだって可能じゃないか!?」と根拠の無い自信を持っている自分がいるのも事実です。
どこまでたどり着けるかは分かりませんが、今後は私の夢の続きを感謝の気持ちを込めて執筆していきたいと思うので、読者の皆様よろしくお願い致します。

大津一貴 / Otsu Kazutaka (@kazuuu02) | Twitter

https://twitter.com/kazuuu02

The latest Tweets from 大津一貴 / Otsu Kazutaka (@kazuuu02). 北海道札幌市出身/ 癌サバイバー / 脱サラ海外リーガー/ FC Ulaanbaatar(モンゴル)→Three Kings United(ニュージーランド)→Kamphangphet FC(タイ) サッカーで世界を渡り歩いていますHP⇨https://t.co/c35I1zHosk. Kamphangphet Thailand

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