クラシコもローカルフットボールも本質は同じ

クラシコもローカルフットボールも本質は同じ

先日の伝統の一戦 エル・クラシコについて丸山龍也氏に語っていただきます。


 会社なのか学校なのか、その中身にそれぞれ差はあれど、また凝りもせず始まっていく慌ただしい日々に向け、日曜日の夕方は静けさに街が包まれます。
金曜日が持つ、責務から開放された華々しさや、土曜日だけに存在する独特のアットホーム感はすっかり抜け、走りゆく車も野良犬もどこかのんびり過ぎ去っていくようなちょっぴり淋しげのある空気の中、走って滑り、戦って声を荒げ…彼らは一体何のために戦っているのだろうか?週末のローカルフットボールはJや世界のソレと変わらぬ熱気で、ピッチ内がヒートアップしています。

日曜日の本気

間違いなく語り継がれることになるはずとなったクラシコの激戦から、ちょっぴり時計を巻き戻した午後7時。現在僕がお世話になっているFC Recklessは、Jリーグ基準には達していないであろう薄暗いナイター設備の中、15歳から36歳、プータローから経営者まで様々なステータスを持つ選手たちが赤い円陣を組んでいました。

サンチャゴ・ベルナベウの200分の1も収容できないであろうスタンドには、ピッチを見つめる瞳はありません。人工芝の上でぶつかり合う22人を見守るのは、主審と副審と、のんびりアップをする数人の控え選手…しかしそこにはクラシコと何ら変わりのない本気のフットボールが存在します。
何が懸かってる訳でもないただの練習試合。しかしそこでプレーする選手たちは真剣そのもので、シュートが外れれば雄叫びを上げ、ギリギリの勝負が一線を越えると小競り合いにもなります。
プロと変わらぬハイレベルのテクニックが炸裂する瞬間もあれば、カウンターの芽が小さいうちにしれっとファールで潰すこともあり、放映権も勝利給もない戦いですから、純度100%な意地と意地のぶつかり合いと言えるでしょう。

「ファウルをしなければならなかった」腕章を巻いたマルセロは、セルジ・ロベルトをファールで止めなかったことを悔やんでいました。相手陣地、カードの確率も低いであろうアディショナルタイムのシチュエーションで、清く正しく美しく正々堂々に挑んでしまったことは、ブラジル人らしからぬミスです。ドローでも優勝に大きく近づくこの一戦ですから、ジダンが、ペレスが、本拠地8万人のほとんどが、そのまま試合をクローズすることを期待していたでしょうが、それでも世界最高のサイドバックでも勝負に徹せずミスを犯してしまう、これもまたサッカーの難しさでしょう。

サッカーは世界中のどこにでもある当たり前のもので、どこで行われているものも変わらずいつもサッカーです。
当たり前にそばにあるサッカーだからこそ、メッシのテクニックや、ロナウドのフィジカルに、世界中が魅了されます。
同じものだけど、同じじゃない。
近所の公園で行われるソレと、何億人が画面の向こうで見守っているソレには、言葉では言い表せられないギャップが存在していて、でも同じなのです。

足りないギャップと、上回るギャップ

深夜3時半。ナイターのゲームを終えてヘトヘトでも、昼寝並みの仮眠を取ってからRecklessの仲間と集まり、画面の前に。
自分たちがさっきまでやっていたものとルールは全く同じで、恐らく自分たちがさっきまでやっていたものと同じく、プレーのほとんどはミスで終わるはずでしょう。それでも、遥か彼方マドリードで肌の色も目の色も違う選手たちが戦うことに心をときめかせ、メッシやロナウドだけでなく、全ての選手のプレーに感動、感激、感嘆を得ていきます。

僕はハメス・ロドリゲスに嫉妬しました。左サイド深くからのクロスに、逆サイドからダイアゴナルに走り込んで左脚でぴったり合わせる。たった数時間前、全く同じシチュエーションで枠を外した僕と違って、ハメスは確実にアジャストしてきました。
フィジカルやキックの技術の差ではないです。右サイドから全速力で流れてきても、ハメスは最終的にゴールへ正対する身体の向きを作った。
 「目的に向かって正対する」おそらくサッカーだけでなく、ほとんど全てのスポーツでベーシックとなるアタリマエのことを、ハメスはハイスピードで遂行しました。
 プレッシャーしかない難しい舞台で、その基本技術を涼しい顔でサラッとこなす、多分顔がどんなにブサイクでもカッコよく思ったことでしょう。

マルセロも凄かった。マルヤマならひとつ前のタイミングで上げていましたが、マルセロはゴールラインギリギリで一拍おいて、ハメスを待った。キックの質も最高ですが、それ以上に最高なのはリズム感で、一長一短で身につくものではないです。
でも、マルヤマなら絶対にファールで倒した。勝ち点1に徹すだけで、シーズン通して起きた全ての酸いも甘いも報われる、そのシチュエーションですから、黄色も赤も怖くないはずです。でもユニフォームを引っ張りたくても、近づくことすら許されない。これもまた現実です。

最高な愉しみ

「俺ならもっと上手くやるよ」そう言うのはリスペクトに欠けると怒られるかもしれませんが、世界最高の選手よりも、画面の前で見守るオーディエンスの方が上回ってしまうというギャップも存在する、それもまたサッカーです。
「あそこに出せよ!」「なんでシュート打たないんだ!」何十億も貰ってる彼らより、チューハイ片手に騒いでるだけのサラリーマンの方が状況判断に優れることだってある。その矛盾的愉しさもこのスポーツが愛されてやまない理由のひとつでしょう。

こんなに面白いこと、他にはありません。やっても楽しい、観ても楽しい、語っても楽しい。今、デニーズでパフェをモグモグしつつ、こうやって試合を回想して文章を書くことも、マジで最高なひとときです。
トランプも金正恩も安倍さんも、もっとサッカー観たら良いのに。バカみたいな意見だけど、サッカーバカにはそんな風に思えて仕方ありません。
世界中すべての週末が、球蹴りにうつつを抜かして一喜一憂する…そんな時代はいつ来るのでしょうか。

丸山龍也@結果に相応しい人に成る (@maru_ryuya) | Twitter

https://twitter.com/maru_ryuya

The latest Tweets from 丸山龍也@結果に相応しい人に成る (@maru_ryuya). 元四流プロサッカー選手で、未来の超一流プロサッカー選手です。 今はただのどこにでもいる24歳 ⚽️

このまとめのライター

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